胃酸が上がってくる・胸やけ・ゲップ
Stomach acid, Heartburn, Belching
胃酸が上がってくる・胸やけ・ゲップ
Stomach acid, Heartburn, Belching
「胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease:GERD)」は、主に胃内の酸が食道へ逆流することにより、胸焼け(みぞおちの上あたりの灼熱感)や呑酸(酸っぱいものが上がってくる感じ)などの症状が出現し、場合によっては食道の粘膜がただれる(逆流性食道炎)病気です。食道炎がみられず自覚症状のみあるタイプを「非びらん性胃食道逆流症(Non-Erosive Reflux Disease:NERD))」といい、食道炎を合併する場合を「逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)」といいます。
胃の中に溜まったガスが口外に出ることをいいます。ゲップ自体は生理的・日常的現象なので問題はございません。ゲップが頻回に起こる場合や、同時に胸やけもみられる場合には、一度ご相談ください。
胃からは胃酸が分泌され、食物の消化を助けています。胃の粘膜は胃酸に対する防御機能がしっかりしておりますが、食道の粘膜は胃酸に対する防御機能が弱く、食道に逆流した胃酸によって食道粘膜は容易に傷ついてしまいます。食道粘膜が長時間胃酸にさらされると食道粘膜がただれて、逆流性食道炎が生じます。
胃と食道のつなぎ目(噴門)には下部食道括約筋が存在し、胃酸が逆流しにくくなっています。健常な人でも、食道内に胃酸が逆流している時間は一日の中で4%以下に留まり、逆流が問題になることはありません。食道の蠕動運動(食道内から胃へ食べ物を送る運動)により、すぐに胃へと戻されるからです。胃食道逆流症の患者さんでは、この蠕動運動に問題が生じていることがあり、胃酸が食道内に溜まってしまいます。
また、胃の一部が横隔膜を越えて胸腔内に入り込む「食道裂孔ヘルニア」がある人は、さらに胃酸が食道内に逆流しやすくなります。食道粘膜のただれがない非びらん性食道炎では、食道の知覚過敏が背景にあり、わずかな胃酸の逆流でも強い症状がみられる場合もあります。
胸焼けや呑酸といった典型的な自覚症状があれば、胃食道逆流症を積極的に疑います。吐き気や噯気(ゲップ)、またはみぞおちのあたりが重い感じがすると訴える人もいます。上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)を認めれば、診断が確定されます。
治療としては、胃酸の分泌を抑える薬の内服が有効で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が使われることが多いです。その他、胃の内容物の逆流を改善する内服薬(消化管運動改善薬や漢方薬など)を併用することもあります。
当院の上部消化管内視鏡検査は、先端部外径は5.4mm、柔軟性のある電子スコープを用いて検査を行います。内視鏡先端にはカメラが装着されており、モニターに食道・胃・十二指腸の内部を映し出して直接観察し診断します。異常を疑った場合には、病理組織検査を追加する場合もあります。
当院では、検査前に患者さんと相談して、経口的に挿入するか・経鼻的に挿入するかを選択していただいております。過去に胃カメラで苦しい思いをされた方には、より苦痛の少ない「経鼻内視鏡検査」をお勧めしております。
まずは診察を受けていただき検査の予約を取ります。(お電話でも予約は承りますが検査前に必ず受診してください。)その際に、既往歴・胃カメラの検査歴・普段内服されている薬・薬剤アレルギーなどを確認し、検査の流れや検査に関する注意点を説明いたします。
検査前日は夜9時頃までに夕食を済ませてください。検査当日の朝からは絶食です。水分は検査2-3時間前まで摂取できます。