発熱・のど痛・頭痛・倦怠感等の風邪症状
Fever, Sore, Headache, Fatigue
発熱・のど痛・頭痛・倦怠感等の風邪症状
Fever, Sore, Headache, Fatigue
私たちの身体は、常に一定の温度に保たれています。これを「平熱」と言って、一般的には36.0~37.0℃と言われています。でもこの平熱には個人差がありますし、同じ人物でも時間や活動状態、また、測定する場所によっても違ってきます。
一般の病院(外来)で最も多い症状が「発熱」だと言われています。しかし、発熱の原因はちょっとカゼ気味というものから難病までさまざまです。
「発熱」の症状が現れる主な病気の中で発症頻度の高いもの、特徴的なもの、注意が必要なものをとりあげました。
疑われる主な病気 | 症状の説明 |
---|---|
疑われる主な病気感染性胃腸炎 (カンピロバクター、ノロウイルスなど) |
細菌やウイルス、寄生虫の感染により腸で炎症が起こる。 |
疑われる主な病気虫垂炎 | 小腸と大腸の間にある虫垂(盲腸)に炎症が起こる。お腹が硬くなり、歩行やせきで痛みが増す。 |
疑われる主な病気腎盂腎炎 | 細菌感染が、膀胱を経て、通常の尿の経路を逆行する形で腎臓に到達し、細菌が増殖して炎症が起こる。 |
疑われる主な病気膠原病 | 免疫機能の異常により、全身の複数の臓器に炎症が起こる一連の疾患群。 |
疑われる主な病気急性喉頭蓋炎 | 細菌やウイルスの感染により炎症が起こる。 |
疑われる主な病気扁桃周囲膿瘍 | 細菌の感染により扁桃の周囲の組織に膿がたまる。 |
疑われる主な病気感染性心内膜炎 | 血液中に入った細菌が心臓の内部に感染巣を作り炎症が起こる。 |
疑われる主な病気髄膜炎 | 乳幼児期に起こりやすい。脳や髄膜(頭蓋骨と脳の間の膜)に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる。 |
疑われる主な病気敗血症 | 細菌やウイルスの感染による炎症が全身に広がり臓器障害が起こる。重症だと生命に関わることもある。 |
発熱は体を感染症から守るうえで有益な生体反応であり、発熱を生じた際は必ず治療すべきかどうかは議論の分かれるところです。ただ、38度以上の高熱時では身体的に辛くお薬を処方することが多いです。お薬を処方する際は発熱を引き起こしている原因を特定し、その原因に最適なお薬を処方します。
発熱時は脱水症状を伴っていることも多く、水分摂取が大切です。脱水症状が深刻な場合は点滴による補液を行います。とくに高齢者では脱水症状を発症しやすいです。少量ずつでも構いませんので経口補水液やスポーツドリンクといった、電解質(ナトリウム・カリウム)を多く含む水分を摂取するよう心掛けてください。
扁桃炎は、細菌やウイルスによって起こる扁桃(腺)の病気です。体の抵抗力(免疫力)をつくり、鼻や口から細菌が気管や肺へ侵入するのを防ぐため、喉にはいくつかのリンパ組織のかたまりがあります。これらのリンパ組織は扁桃といわれ、一般に扁桃とは口蓋扁桃のことを指します。
扁桃腺とは、舌の付け根の両側にあるこぶのようなリンパ組織で、ウィルスや細菌などの病原菌から体を守る免疫の役割を果たしています。空気中の病原菌は、鼻やのど、扁桃腺に付着することがほとんどで、扁桃腺に付着した病原菌が増殖すると炎症を起こします。扁桃腺が腫れると、多くの場合は発熱を伴います。病原菌を増殖させる原因は、風邪や疲労、ストレスによる免疫力低下、のどの乾燥や急激な気温の変化などさまざまです。とくに、子どもの発熱はウイルス感染によるものが多く、高熱になることもしばしばあります。
一般の病院(外来)で最も多い症状が「発熱」だと言われています。しかし、発熱の原因はちょっとカゼ気味というものから難病までさまざまです。
扁桃腺に関する病気は、うがいと手洗いをすることで、病原菌の侵入を防ぐことができます。扁桃炎は細菌感染によるものなので、炎症を起こしている期間は数日程度で、抗菌薬投与により改善が見込まれます。発熱や扁桃腺が腫れるなどの症状があり、市販の風邪薬を服用しても良くならない場合には、医療機関を受診するようにしましょう。
風邪症状の後に8週間以上にわたり慢性の乾性咳嗽(空咳)続き、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や呼吸困難を伴わない。このような場合には、咳喘息が疑われます。夜間や早朝に悪化しやすく、風邪などの感染症のほか、タバコの煙、気温・湿度の変化、会話、運動が引き金になることもあります。春や秋など特定の時期に症状がひどくなる場合もあり、アレルギーの関与もあります。
気管支喘息と同じように気道の過敏な状態が続いており、通常の風邪薬を服用しても症状は改善しません。気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬を使用することが基本であり、その他にも抗アレルギー薬や気管支拡張薬を併用することがあります。咳喘息の約30%が気管支喘息へと移行すると言われており、注意が必要です。
咳ぜんそくでは、痰(たん)が混じることのない空咳が8週間以上にわたって続きます。風邪をひいた際にも咳が長引くことがありますが、咳ぜんそくによる咳は風邪の症状とは関係なく持続することが特徴です。また、咳ぜんそくでは咳以外の症状が現れないことも特徴です。気管支喘息では、喘鳴や息苦しさ、呼吸困難からの会話のしづらさなどがみられることがありますが、咳ぜんそくの場合にはこうした症状はみられません。
体の中では、健康状態でも痰は常に作られていています。通常は分泌量も少ないので、知らない間に胃の方へと流れています。ウイルスや細菌などによる感染症を引き起こすと、粘り気や色のついた(黄色や緑色)痰となって吐き出されます。
鼻や口で呼吸をすることで、常に外気と触れています。空気中にウイルスや細菌がいても侵入されないよう、口・鼻・のどの内壁では粘液で異物を付着し、繊毛運動によって外に出そうとする感染防御システムが人には備わっています。ウイルスが侵入してしまうと、粘膜内部の組織に炎症が引き起こされ、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状がみられるようになります。
後鼻漏(こうびろう)は、鼻水がノドの方へ流れ落ちてくる症状です。後鼻漏は、健康な方でも生じている生理的なものです。
しかし、風邪やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などで、鼻水が増えてくると、のどに落ちていく鼻水が普段よりも増えてきて、それがのどの違和感、咳の原因になります。抗アレルギー薬や抗菌薬の内服により治療を行いますが、改善傾向に乏しい場合には、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
体温が上昇している状態のことを発熱といいます。私たちの体温は、通常時は脳内の視床下部にある「体温調節中枢」の働きによって、一定の範囲(平熱)に保たれています。ところが、さまざまな原因によって体温調節中枢の設定温度が高くなると、発熱が生じます。
発熱後、体温が下がらず38度を超えてくると高熱と分類されます。
※平均体温は個人差がございますので全ての人が上記に当てはまるとは言いかねます。
どの年代、性別の人でも起こります。ほとんどの場合、風邪やインフルエンザなどの感染症の症状として起こります。自己免疫疾患や悪性腫瘍(がん)といった病気の症状として現れている場合もあるので、注意が必要です。
頭痛は日常的に起こる頭痛(一次性頭痛)と脳の病気などが原因で起こる頭痛(二次性頭痛)に分けられます。普段感じる頭痛の多くは一次性頭痛で、ストレスや生活習慣、姿勢などがきっかけで起こります。片頭痛や緊張型頭痛なども一次性頭痛で、脳の血管の拡張や、首まわりの筋肉の緊張で血行が悪くなることによって起こると考えられています。片頭痛は、頭の片側(または両側)が脈打つようにズキズキと痛み、ときに吐き気を伴うことがあります。
光や音に敏感になる症状も現れることがあります。緊張型頭痛は後頭部、こめかみ、ひたいを中心に頭重感や圧迫感、または締めつけられるような痛みがジワジワと発生し、しばらく続きます。それぞれにあった治療法や治療薬がありますのでご相談ください。一方、二次性頭痛を引き起こす病気には、くも膜下出血、脳腫瘍、脳血管障害など危険なものもあります。今までに感じたことのない激しい頭痛が突然生じたり、手足の麻痺・しびれ・けいれん、激しい嘔吐や高熱などを伴ったりする場合は、早急に救急病院を受診してください。
片頭痛の名前は頭の片側が痛むことに由来しますが、両側の頭痛を経験する方もおられます。女性に多いという特徴があります。「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」があります。前兆は、頭痛より前に起こる症状で、キラキラと何かがみえる、ギザギザの光がみえるなど、視覚性のものがあります。多くの場合、60分以内に前兆が終わり、続いて頭痛が始まります。激しい痛みであり、吐き気や嘔吐・眠気を伴うこともあります。光や音、匂いに敏感になることもあります。
片頭痛発作は通常4~72時間程度で症状が消えると普段と変わりなく過ごすことができます。片頭痛の治療には、頭痛発作を早く鎮めるための急性期治療と、頭痛がない日もあらかじめ毎日お薬を飲んで、頭痛発作を起こりにくくする予防療法があります。
風邪やインフルエンザなどの感染症を発症すると、免疫力を上げてウイルスを追い出そうと熱が上がります。この熱が上がっていく過程において、悪寒を感じるようになります。体の中では、悪寒により寒さを感じることで体を震えさせ体内の温度を上げています。この時に発熱させる物質が、関節内などで炎症を引き起こし筋肉痛や関節痛を起こしているのです。
人間の身体には、体内環境を一定の状態に保ち続けようとする仕組みがあります。この状態を保つために休息が必要になると、体が重くて力が入らない、何もする気になれないなどの倦怠感・だるさの症状が現れます。
倦怠感やだるさには、過労、睡眠不足、不規則な生活、精神的なストレスの蓄積、栄養不足といった日常生活から生じるものがあります。これらは、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、心身のリフレッシュ、十分な休養、適度な運動によって予防・解消できることがあります。激しい運動や過度な労働など、身体を動かしたときに生じる倦怠感やだるさは、ゆっくり休養すると数日で回復します。
休養しても倦怠感やだるさが解消されず、長い間持続する場合は、何らかの病気が背景にある場合があります。早めに医療機関を受診するようにしましょう。
例えば、感染症、貧血、心臓や肝臓の病気、糖尿病や甲状腺機能異常、うつ病や心身症、低血圧、悪性腫瘍(がん)、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。
「倦怠感・だるさ」の症状が現れる主な病気は、以下の通りです。
疑われる主な病気 | 症状の説明 |
---|---|
疑われる主な病気風邪 | 空気中のウイルスが気道内に入って増殖する。上気道に急性の炎症が起こる。 |
疑われる主な病気急性肝炎 慢性肝炎(の増悪) |
主に肝炎ウイルスへの感染が原因。肝硬変や肝臓がんへの進行を予防するため、早期の治療が大切。 |
疑われる主な病気貧血 (約90%は鉄分不足による鉄欠乏性貧血) |
全身に酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが不足する。 |
疑われる主な病気睡眠時無呼吸症候群 | 睡眠中に無呼吸状態を繰り返すため、睡眠が浅くなり、体を休めることができない。 |
疑われる主な病気糖尿病 | 血糖値を下げるインスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりすることで、高血糖状態が続く。 |
疑われる主な病気更年期障害 | 女性ホルモンが急激に減少することで起こる。40歳代半ばに始まることが多い。 |
疑われる主な病気慢性疲労症候群 | 日常生活に支障をきたす強い疲労感が長期間続く。 |
疑われる主な病気うつ病 | こころの症状がほぼ毎日、2週間以上続き、生活に支障をきたす。身体の症状が出ることもある。 |
疑われる主な病気起立性調節障害 | 思春期前後の小児に多くみられる。自律神経の機能が低下して循環器系の調節がうまくいかなくなる。 |